ふるさと納税と住宅ローン控除の併用|上限額が下がる境目は「所得税額」です

最終更新日: 2026-08-25

先に結論

  • ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できます。そして多くの人は、上限額が1円も変わりません。
  • 上限額が下がるかどうかの境目は、ちょうど「あなたの所得税額」です。住宅ローン控除の年間額が所得税額を超えた時だけ下がります。年収750万円以上(独身・共働き)なら、住宅ローン控除が制度上の最大額(年35万円)でも上限額は変わりません。
  • 下がる人でも、1年目と2年目以降で結果が違います。年収700万円・住宅ローン控除28万円なら、2年目以降は107,202円ですが、1年目は83,333円です(差23,869円)。1年目は確定申告が必須でワンストップ特例が使えないためです。
  • 下がり幅には底があります。住民税から引ける住宅ローン控除は97,500円が上限なので、ローンをいくら増やしてもそこから先は下がりません。

「住宅ローン控除を受けているとふるさと納税で損をする」という話をよく見ます。半分は正しく、半分は誤りです。条件を1つ満たした人だけが下がり、それ以外の人は1円も変わりません。ここではその条件を先に示し、当てはまる人には実際にいくら下がるのかまで出します。

このページの数字は、どこかの表を書き写したものではありません。当サイトが公開している計算エンジンに実際に計算させた出力です。判断基準もそのまま書きます。総務省の公表値と突き合わせた結果も公開しています。

1. まず、自分が下がる側かを確かめる

境目はちょうど「所得税額」でした

年収・家族構成を変えながら、住宅ローン控除の額を1,000円ずつ増やして上限額が動き始める点を総当たりで探しました。結果は例外なくその人の所得税額と一致しました。ルールは1行で書けます。

住宅ローン控除の年間額が、あなたの所得税額を超えた時だけ、ふるさと納税の上限額が下がる。

超えていなければ、住宅ローン控除がいくらあっても上限額は変わりません。これは感覚的な話ではなく、後述する制度の仕組みからそのまま出てくる帰結です。

年収・家族構成別の境目

下の表の金額を、あなたの住宅ローン控除の年間額が超えていなければ影響なしです。社会保険料は年収の15%で概算しています。

年収・家族構成別「ここを超えると上限額が下がる」住宅ローン控除の年間額
年収(額面)独身・共働き夫婦(配偶者控除あり)共働き+子1人(大学生)夫婦+子2人(大学生と高校生)
300万円34,500円15,500円3,000円下がらない
(所得税0円)
400万円64,000円45,000円32,500円下がらない
(所得税0円)
500万円115,500円87,500円75,000円37,000円
600万円180,500円142,500円117,500円69,500円
700万円276,500円216,500円191,500円115,500円
800万円426,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
350,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
300,500円190,500円
900万円596,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
520,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
470,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
318,500円
1,000万円766,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
690,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
640,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
488,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)

※ 表の金額はその年収・家族構成での所得税額です。「下がらない(所得税0円)」は、所得税が元から0円のため住民税へ回せる枠も0円で、住宅ローン控除をいくら積んでも上限額が動かない層です(そもそもの上限額自体が数千円と小さい層です)。「控除の上限35万円を超えるので実際には届かない」は、計算上の境目はあるものの、住宅ローン控除の年間額が制度上そこまで大きくならない層です(借入限度額5,000万円×0.7%=35万円が最大)。iDeCo・医療費控除など他の所得控除があると所得税額が下がるため、境目も下がります。

自分の住宅ローン控除額を出す

住宅ローン控除の年間額は年末残高×0.7%です(令和4年〜令和7年入居)。住宅ローンの年末残高等証明書に書かれている残高から出せます。

年末残高から住宅ローン控除の年間額を出す(令和4年〜令和7年入居・残高×0.7%)
年末残高その年の住宅ローン控除額
2,000万円140,000円
3,000万円210,000円
4,000万円280,000円
4,500万円315,000円

この額と、1つ上の表の金額を比べてください。下回っていれば、このページの残りは読まなくて大丈夫です。ふるさと納税の上限額は住宅ローン控除がない場合と同じで、年収別早見表やシミュレーターの数字がそのまま使えます。

源泉徴収票から、自分の所得税額を確かめる

上の表は社会保険料を年収の15%で概算しています。自分の実額で確かめたい人は、源泉徴収票から逆算できます。使う欄は2つです。

  1. 源泉徴収税額(右上の欄)
  2. 住宅借入金等特別控除の額(中段の欄。住宅ローン控除2年目以降で年末調整済みの場合に入っています)

源泉徴収税額には復興特別所得税(2.1%)が乗っているので、先に外してから住宅ローン控除を足し戻します。

所得税額 = 源泉徴収税額 ÷ 1.021 + 住宅借入金等特別控除の額

年収600万円・独身・住宅ローン控除150,000円のケースで確かめると、源泉徴収税額は31,100円になります。手順どおり31,100円÷1.021+150,000円=約180,460円で、計算エンジンが出した所得税額180,500円と一致します(差40円は100円未満切捨てによる誤差)。

源泉徴収税額が0円の人は、住宅ローン控除で所得税を使い切っています。その場合はこのページの「下がる側」です。

ペアローン・連帯債務は、1人ずつ別々に判定する

住宅ローン控除は借りた人それぞれの所得税・住民税から引く制度です。ペアローンや連帯債務で夫婦2人が控除を受けている場合、「世帯の控除額」と「世帯の所得税」を比べても答えは出ません。夫は夫の控除額と夫の所得税額、妻は妻の控除額と妻の所得税額で、上の表をそれぞれ引いてください。片方だけが下がる、という結果は普通に起きます。

ふるさと納税も同じで、寄付をした人の名義でしか控除されません。夫婦のどちらが寄付するかで使える上限額が変わるので、下がっていないほうの名義で寄付するのが単純に有利です。

2. なぜ所得税額が境目になるのか

住宅ローン控除は「税額控除」で、所得税→住民税の順に引かれる

住宅ローン控除は所得から引く控除(所得控除)ではなく、計算し終わった税額から直接引く控除(税額控除)です。引く順番が決まっています。

  1. まず所得税から引く
  2. 所得税から引ききれなかった分だけ、翌年度の住民税の所得割から引く
  3. ただし住民税から引ける額には上限がある。所得税の課税総所得金額等×5%、最高97,500円(令和4年1月〜令和7年12月入居)

つまり所得税の範囲で収まっているうちは、住民税に一切影響しません。これが「所得税額が境目」の正体です。

住民税に回った分だけ、ふるさと納税の枠が減る

ふるさと納税の控除額のうち、いちばん大きい「住民税の特例分」には住民税所得割額の20%という上限があります。住宅ローン控除が住民税所得割を削ると、この20%枠も比例して縮みます。控除の仕組みで3階建ての構造を説明しています。

削られるのは3階建ての「3階部分」だけ

ふるさと納税の控除は3つの合計です。

  • 1階:所得税から(寄付額−2,000円)×所得税率×1.021
  • 2階:住民税の基本分(寄付額−2,000円)×10%
  • 3階:住民税の特例分(寄付額−2,000円)×(90%−所得税率×1.021)

上限額を決めているのは3階部分にかかる「住民税所得割額の20%」という枠です。1階と2階には上限がありません。住宅ローン控除が住民税所得割を削ると、この20%枠だけが縮み、それが上限額の低下として出てきます。3階建ての詳細は控除の仕組みにまとめています。

住民税へ回せる枠には97,500円の天井がある

ここが「際限なく下がるわけではない」理由です。所得税から引ききれなかった住宅ローン控除は住民税へ回りますが、回せる額は課税総所得金額等×5%と97,500円の、小さいほうまでと決まっています。年収別に実際の枠を出しました。

住民税へ回せる住宅ローン控除の枠(独身・共働き)
年収(額面)課税総所得金額等その5%実際に回せる枠どちらが効いているか
300万円690,000円34,500円34,500円5%のほうが小さい
400万円1,280,000円64,000円64,000円5%のほうが小さい
500万円2,130,000円106,500円97,500円97,500円で頭打ち
600万円2,780,000円139,000円97,500円97,500円で頭打ち
700万円3,520,000円176,000円97,500円97,500円で頭打ち
800万円4,270,000円213,500円97,500円97,500円で頭打ち
900万円5,120,000円256,000円97,500円97,500円で頭打ち
1,000万円5,970,000円298,500円97,500円97,500円で頭打ち

※ 令和4年1月〜令和7年12月入居の場合。平成26年4月〜令和3年12月入居は「課税総所得金額等×7%・最高136,500円」で、枠がもう少し大きくなります。

年収500万円あたりから上は5%側が97,500円を超えるため、どの年収でも天井は97,500円で共通になります。住民税の所得割がこれ以上削られることはないので、ふるさと納税の上限額の下がり幅にも底ができます。

下がり方は2段階になる

年収600万円・独身で、住宅ローン控除を0円から増やしていったときに何が動くかを1件ずつ計算しました。

年収600万円・独身で、住宅ローン控除を増やしていくと何が動くか
住宅ローン控除額引いた後の所得税住民税へ回る額住民税の所得割ふるさと納税の上限
0円180,500円0円300,500円77,322円
150,000円30,500円0円300,500円77,322円
180,500円0円0円300,500円68,777円
181,000円0円500円300,000円68,666円
200,000円0円19,500円281,000円64,444円
250,000円0円69,500円231,000円53,333円
280,000円0円97,500円203,000円47,111円
350,000円0円97,500円203,000円47,111円

読み取れることが3つあります。

  • 1段目は段差です。所得税がちょうど0円になった瞬間(180,500円)、住民税へはまだ1円も回っていないのに上限額が8,545円落ちます。ふるさと納税の「所得税からの控除」が働かなくなるためです。
  • 2段目はなだらかです。そこから先は住民税に回った分だけ所得割が減り、それに比例して上限額が下がります。
  • 底があります。住民税へ回せる額は97,500円で頭打ちなので、住宅ローン控除280,000円を超えると上限額は47,111円のまま動きません。ローン残高が大きいほど際限なく下がる、ということはありません。

3. 実際にいくら下がるのか

年収×住宅ローン控除額(独身・共働き)

住宅ローン控除額別に、ふるさと納税の上限額を計算しました。

住宅ローン控除額別のふるさと納税上限額(独身・共働き/2年目以降=ワンストップ特例の場合)
年収(額面)住宅ローンなし14万円21万円28万円31万円
300万円28,267円20,140円
−8,127円
20,140円
−8,127円
20,140円
−8,127円
20,140円
−8,127円
400万円42,167円27,089円
−15,078円
27,089円
−15,078円
27,089円
−15,078円
27,089円
−15,078円
500万円61,029円54,888円
−6,141円
37,342円
−23,687円
36,590円
−24,439円
36,590円
−24,439円
600万円77,322円77,322円69,928円
−7,394円
52,883円
−24,439円
52,883円
−24,439円
700万円108,208円108,208円108,208円107,202円
−1,006円
97,142円
−11,066円
800万円129,766円129,766円129,766円129,766円129,766円
900万円152,761円152,761円152,761円152,761円152,761円
1,000万円177,194円177,194円177,194円177,194円177,194円

※ 「−」の数字は住宅ローンがない場合と比べた目減り額です。数字だけの欄は1円も変わりません。

家族構成が違うと、下がり方も違う

同じ年収でも、扶養している人がいると所得税額が小さくなります。所得税額が境目なので、家族が多いほど早く下がり始めます。年収600万円で並べました。

年収600万円で、家族構成ごとにいくら下がるか(2年目以降=ワンストップ特例)
家族構成住宅ローンなし所得税額
(=境目)
15万円20万円28万円35万円
独身・共働き77,322円180,500円77,322円72,434円
−4,888円
52,883円
−24,439円
52,883円
−24,439円
夫婦(配偶者控除あり)69,051円142,500円67,171円
−1,880円
54,638円
−14,413円
44,611円
−24,440円
44,611円
−24,440円
共働き+子1人(大学生)66,043円117,500円57,896円
−8,147円
45,363円
−20,680円
41,603円
−24,440円
41,603円
−24,440円
夫婦+子2人(大学生と高校生)43,345円69,500円26,972円
−16,373円
26,972円
−16,373円
26,972円
−16,373円
26,972円
−16,373円

配偶者控除や扶養控除は税金を減らす制度なのに、ふるさと納税の上限額という一点では不利に働きます。「うちは共働きの同僚と同じ年収だから同じ額でいいはず」は成り立ちません。

iDeCoを併用すると、境目はもっと低くなる

iDeCoの掛金は全額が所得控除です。所得税額そのものを下げるので、境目も同じだけ下がります。年収別に計算しました。

iDeCoを併用すると「境目」はどこまで下がるか(独身・共働き)
年収(額面)iDeCoなし月1.2万円
(年14.4万円)
月2.3万円
(年27.6万円)
300万円34,500円27,300円20,700円
400万円64,000円56,800円50,200円
500万円115,500円101,100円92,700円
600万円180,500円166,100円152,900円
700万円276,500円247,700円226,900円
800万円426,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
397,700円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
371,300円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
900万円596,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
567,700円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
541,300円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
1,000万円766,500円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
737,700円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)
711,300円
(控除の上限35万円を超えるので実際には届かない)

年収600万円・独身なら、iDeCoを月2.3万円かけているだけで境目が27,600円下がります。住宅ローン控除の額が去年と同じでも、iDeCoを始めた年から急に上限額が下がることがあるということです。iDeCoと住宅ローン控除を両方入れて計算するならシミュレーターを使ってください。

4. 1年目と2年目以降で結果が変わる

1年目は確定申告が必須で、ワンストップ特例が使えない

住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも確定申告が必要です。この時ワンストップ特例の申請を出していても、確定申告をした時点で無効になります。ふるさと納税は確定申告書の中で申告し直すことになります(申告し忘れると控除が受けられません)。2年目以降は年末調整で完結するため、ワンストップ特例が使えます。

同じ条件でも、1年目のほうが上限額が低い

ここが見落とされがちなところです。どちらの手続きを使うかで、ふるさと納税の上限額そのものが変わります。

住宅ローン控除28万円(残高4,000万円)・独身の場合の上限額
年収(額面)住宅ローンなし2年目以降
(ワンストップ特例)
1年目
(確定申告)
1年目の目減り
300万円28,267円20,140円19,111円−1,029円
400万円42,167円27,089円25,666円−1,423円
500万円61,029円36,590円32,666円−3,924円
600万円77,322円52,883円47,111円−5,772円
700万円108,208円107,202円83,333円−23,869円
800万円129,766円129,766円129,766円±0円
900万円152,761円152,761円152,761円±0円
1,000万円177,194円177,194円177,194円±0円

年収700万円のところを見てください。2年目以降なら107,202円まで寄付できるのに、1年目は83,333円です。収入も家族構成もローン残高も同じなのに、手続きの違いだけで23,869円違います。

なぜ差が出るのか

ワンストップ特例は所得税を動かしません。本来なら所得税から引かれるはずだった分を、住民税が「申告特例控除額」として肩代わりする仕組みです。この肩代わり分は所得税の税率区分から計算され、実際にいくら所得税を納めたかは条件になっていません。だから住宅ローン控除で所得税が0円になっていても消えません。

一方、確定申告で寄付金控除を申告する場合、所得税側の控除は「課税所得を減らす」形で効きます。住宅ローン控除で所得税がすでに0円なら、課税所得を減らしても引かれる税金はこれ以上減りません。その分が丸ごと効かなくなります。

手続きはどちらになるか

あなたがどちらの手続きになるか
あなたの状況ふるさと納税の手続き上限額への影響
住宅ローン控除1年目確定申告(ワンストップ特例は使えない)所得税が0円になる人は上限が下がる
住宅ローン控除2年目以降・寄付先5団体以内ワンストップ特例が使える所得税分の目減りは起きない
2年目以降だが、医療費控除などで確定申告する年その年はワンストップ特例が無効1年目と同じ条件になる
2年目以降・寄付先が6団体以上確定申告が必要1年目と同じ条件になる

5つの質問でどちらになるか判定するツールも用意しています。

ワンストップ特例の申請期限は、寄付した翌年の1月10日必着

2年目以降でワンストップ特例を使うつもりなら、寄付先の自治体ごとに申請書を出し、翌年1月10日までに自治体へ届いている必要があります(消印ではなく必着)。12月末の駆け込み寄付はここが詰まりやすく、間に合わなければ確定申告に回るしかありません。そうなると上の表の「1年目」と同じ条件になります。

住宅ローン控除で所得税が0円になっている人にとっては、この期限を落とすこと自体に金額がつきます。年収700万円の例なら23,869円分の枠が消えます。申請書を出したかどうかを自治体ごとに記録しておくのが、いちばん確実な対策です。

2年目以降に確定申告をする年は、失う額を先に出しておく

2年目以降でも、医療費控除・寄付先6団体以上・副業の申告などで確定申告をすれば、その年はワンストップ特例が無効になります。失う額は上の表の「1年目の目減り」の列がそのまま当てはまります。

判断の手順は2つです。

  1. 上の表で、自分の年収の「1年目の目減り」を読む。これが確定申告に切り替えることで失う額です(年収700万円なら23,869円)。
  2. 医療費控除などで戻ってくる見込み額と比べる。戻る額のほうが大きければ確定申告、小さければ確定申告をしない(=その医療費控除をあきらめる)ほうが手取りは増えます。

※ 「目減り」は上限額が下がる額であって、そのまま損失額ではありません。下がった上限の範囲で寄付すれば自己負担は2,000円のままです。失うのは「返礼品をもらえたはずの寄付枠」で、返礼品の還元率を3割とすると、23,869円の枠は返礼品およそ7,160円分に相当します。

5. こんな人は、こうしてください

影響を受けない人(住宅ローン控除が所得税額を下回っている)

  • 何も気にしなくて大丈夫です。通常の早見表どおりに寄付してください。ワンストップ特例でも確定申告でも上限額は同じです。
  • ただし来年も同じとは限りません。ローン残高が減れば控除額も減りますが、昇給が止まったり扶養家族が増えたりすると所得税額のほうが先に下がります。毎年、源泉徴収票の数字で確かめ直してください。

影響を受ける人(住宅ローン控除が所得税額を超えている)

  • 今年が1年目の人 → 上の表の「1年目」の列で寄付額を決めてください。通常の早見表の数字を使うと、超えた分が全額自己負担になります。
  • 2年目以降の人 → ワンストップ特例を崩さないことが得です。医療費控除のために確定申告をすると、ふるさと納税の上限額まで下がります。医療費控除で戻る額と、ふるさと納税の目減り額を比べてから決めてください。
  • 年末に入居予定で、今年ふるさと納税もしたい人 → 入居年は確定申告になります。1年目の列で判断してください。
  • iDeCoもやっている人 → iDeCoは所得控除なので所得税額そのものを下げます。つまり境目も下がります。シミュレーターで両方を入れて計算してください。
  • 共働きで名義を選べる人 → 下がっていないほうの名義で寄付すれば、目減りそのものを避けられます。

まとめ

「住宅ローン控除があるとふるさと納税で損をする」は、条件付きでしか正しくありません。判定は3ステップで終わります。

  1. 自分の所得税額を出す。表Aの該当マス、または源泉徴収税額÷1.021+住宅借入金等特別控除の額。
  2. 住宅ローン控除の年間額(年末残高×0.7%)と比べる。下回っていれば影響なし。ここで終わりです。
  3. 超えていたら、1年目(確定申告)か2年目以降(ワンストップ特例)かで列を選ぶ。同じ条件でも手続きの違いだけで上限額が変わります。

下がる場合でも、下がり幅には97,500円の頭打ちから来る底があり、際限なく減ることはありません。そして下がった上限の範囲で寄付すれば、自己負担は2,000円のままです。やめる判断ではなく、上限額を引き直す判断をしてください。

この計算の前提と限界

  • 社会保険料は年収の15%で概算しています。源泉徴収票の「社会保険料等の金額」をシミュレーターに入れると精度が上がります。
  • 住民税から引ける住宅ローン控除の上限は令和4年1月〜令和7年12月入居の「課税総所得金額等×5%・最高97,500円」で計算しています。平成26年4月〜令和3年12月入居は「7%・最高136,500円」で、目減り幅がこれより大きくなります。
  • 住宅ローン控除の年間額は残高×0.7%(令和4年以降入居)です。それ以前の入居は1%です。
  • 給与以外の所得がある方、住民税の均等割・調整控除の扱いが自治体で異なる場合は、金額が変わります。
  • 上限額は年末に所得が確定して初めて確定します。見込みで上限いっぱいまで使うと、収入が下振れした時に超過分が自己負担になります。いつの年収で計算するかも合わせてご確認ください。

よくある質問

住宅ローン控除があると、ふるさと納税はやらないほうがいいですか?

いいえ。上限額が下がる人でも、その下がった上限の範囲で寄付すれば自己負担は2,000円のままです。「やらないほうがいい」ではなく「上限額を下げて計算する」が正しい対応です。上の表で自分の上限額を確認してください。

年収が高ければ影響を受けないのはなぜですか?

住宅ローン控除は先に所得税から引かれ、引ききれなかった分だけが住民税に回ります。年収が高いと所得税額そのものが大きいため、住宅ローン控除を全額そこで吸収できます。住民税が減らないので、ふるさと納税の枠も減りません。

1年目にワンストップ特例を申請してしまいました

確定申告をすればワンストップ特例の申請は自動的に無効になります。取り下げの手続きは不要ですが、確定申告書に寄付金控除を必ず記入してください。記入を忘れると、ワンストップも確定申告も効かず控除がゼロになります。ワンストップ申請を忘れた場合も参考にしてください。

2年目以降に医療費控除をすると、ふるさと納税はどうなりますか?

確定申告をするとワンストップ特例が無効になるため、1年目と同じ条件になります。住宅ローン控除で所得税が0円になっている人は、上の表の「1年目」の列の金額まで上限が下がります。医療費控除で戻る額のほうが大きいかどうかを比べて決めてください。

ローン残高が大きいほど、どこまでも下がりますか?

いいえ。住民税から引ける住宅ローン控除は課税総所得金額等の5%・最高97,500円で頭打ちです。年収600万円・独身なら、住宅ローン控除が280,000円を超えたところで上限額は47,111円のまま動かなくなります。

共働きです。夫と妻、どちらの名義で寄付するのが得ですか?

住宅ローン控除で上限額が下がっていないほうの名義です。ふるさと納税は寄付をした本人の税金からしか控除されないため、名義を選べる家庭では、上の表で「下がらない」側を使うだけで枠を丸ごと確保できます。ペアローンで2人とも下がっている場合は、それぞれの下がった上限の合計が世帯の枠になります。

年の途中で入居しました。1年目の住宅ローン控除は月割りになりますか?

なりません。住宅ローン控除はその年の12月31日時点の残高×0.7%で計算します。入居が11月でも12月でも、年末残高が同じなら控除額は同じです。ただし1年目は返済回数が少ない分だけ年末残高が大きいので、控除額はむしろ最大になりやすく、上限額への影響も1年目がいちばん出やすくなります。

住宅ローン控除が住民税から引かれるのは、いつの住民税ですか?

翌年度の住民税です。たとえば2026年分の所得税から引ききれなかった分は、2027年6月からの住民税所得割から引かれます。ふるさと納税の上限額は寄付した年の所得と税額で決まるので、この時間差があっても「2026年に寄付できる額」は2026年分の住宅ローン控除で判断します。

すでに上限を超えて寄付してしまいました。どうなりますか?

超えた分は控除されず、そのまま自己負担になります。返礼品は受け取れるので全損ではありませんが、実質的には返礼品を定価に近い額で買った形です。取り消しは寄付先の自治体の判断で、原則できません。翌年からは下がった上限額で計算してください。

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出典

  1. 国税庁 No.1213「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
  2. 総務省「個人住民税における住宅借入金等特別税額控除」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_02.html
  3. 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ/税金の控除について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
  4. 国税庁 No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
  5. 国税庁 No.2260「所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm