早見表に自分の条件がないときの、ふるさと納税の上限額

最終更新日: 2026-09-08

先に結論

  • 早見表は「収入は給与だけ・社会保険料は年収の15%・他の所得控除は無し」の人の表です。当てはまる人のほうが少数です。
  • 早見表がいちばん静かに外すのは社会保険料です。年収の15%という概算で計算されていて、合わせようにも欄がありません。年収700万円で実額の幅を入れ替えるだけで上限が5,749円動きます。実額は源泉徴収票に書いてあります。
  • 早見表に欄が無い控除(医療費控除・生命保険料控除・iDeCo・親の扶養)は、ほぼ全部シミュレーターの「年間の掛金(万円)」欄に足せます。所得控除はどれも課税所得を同じだけ下げるためで、経路による差は実測0円でした。
  • 所得税と住民税で控除額が違うものは、大きいほう(所得税側)の額を入れてください。年収300万〜1,500万の121通りすべてで上限が低め(安全側)に出ます。低めに外した損は0円です。
  • それでも出せないもの(副業・事業所得・不動産所得・年金・退職金・株の利益)は、このページの最後に正直に書いてあります。

早見表は年収100万円刻み・家族構成は数パターンで作られています。年収が刻みの間にある、親を扶養している、去年は医療費がかさんだ、iDeCo をやっている——このどれか1つに当てはまるだけで、早見表の数字はもう自分の数字ではありません。

このページは年収別の早見表そのものではありません。早見表は7つの家族構成×54の年収帯の早見表にまとめてあります。ここで扱うのは、その表から外れてしまう人が、どうすれば自分の上限額を出せるかです。金額はすべて当サイトのシミュレーターと同じ計算エンジンの出力で、総務省の公表値と突き合わせた結果も公開しています。

1. 早見表は「6つの前提が全部当てはまる人」の表

どの早見表も、書かれていない前提の上に立っています。まずその前提を並べます。1つでも外れていれば、早見表の数字は使えません。

項目早見表が置いている前提当てはまらないのはこういう人
収入給与だけ副業・事業所得・不動産所得・年金・退職金がある
→ 6章
社会保険料年収の15%で概算健保組合・公務員・40歳以上(介護保険料)
→ 2章
所得控除基礎控除・配偶者控除・扶養控除だけ医療費控除・生命保険料控除・iDeCo・地震保険料控除がある
→ 3章
扶養親族一般(16歳以上)と特定(19〜22歳)だけ70歳以上の親を扶養している
→ 4章
年収300万・400万…の決まった刻み刻みのちょうど間にいる
→ 5章
住宅ローン控除無いものとして計算控除を受けている
→ 併用ページ

住宅ローン控除は上限額そのものを動かすというより、還付の受け取り方を変えます。そちらは住宅ローン控除との併用で扱っています。

2. 早見表が黙って概算している社会保険料

家族構成や年収は、早見表にも欄があります。ズレていれば読者が気づけます。ところが欄が無いまま概算で処理されていて、読者が合わせようのない項目が1つあります。社会保険料です。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の合計で、多くの早見表(当サイトのシミュレーターも初期値は同じです)は年収の15%として計算しています。

実際の料率は、加入している健康保険が協会けんぽか組合健保か、都道府県はどこか、40歳以上で介護保険料がかかっているかで動きます。年収700万円の人で見ます。

社会保険料の実額(年間)上限額早見表との差
950,000円111,083円+2,875円
1,000,000円109,645円+1,437円
1,050,000円(早見表と同じ概算値)108,208円
1,100,000円106,771円−1,437円
1,150,000円105,334円−2,874円

同じ年収700万円・同じ家族構成でも、社会保険料の実額しだいで上限は5,749円の幅で動きます。扶養家族の人数を間違えれば読者は気づきますが、このズレは早見表を見ているかぎり気づけません。欄が無いからです。

社会保険料が10万円違うと上限はいくら動くか

動く幅は所得税率によって変わります。税率が高い人ほど大きく動きます。

年収概算どおりの上限社会保険料が10万円多い場合
400万円(所得税率 5%)42,167円39,811円−2,356円
500万円(所得税率 10%)61,029円58,523円−2,506円
600万円(所得税率 10%)77,322円74,816円−2,506円
700万円(所得税率 20%)108,208円105,334円−2,874円
900万円(所得税率 20%)152,761円149,887円−2,874円

社会保険料が10万円多いと、上限は2,356円〜2,874円下がります。逆に言えば、概算より社会保険料が少ない人は、その分だけ寄付できる枠が余っています。

実額はどこに書いてあるか

源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に、その年に支払った実額が1円単位で入っています。前年の源泉徴収票が手元にあるなら、そこの数字をシミュレーターの「年間の社会保険料(万円)」欄に入れてください。それだけで、早見表よりこのページの読者のほうが正確な上限を持つことになります。

その欄に iDeCo の掛金が合算されている場合があります(給与天引きで払っている場合)。二重に入れないよう、掛金欄と社会保険料欄のどちらか片方にしてください。合計額が同じなら結果は同じです(次章)。

3. 早見表に欄がない控除は「年間の掛金」欄に足す

医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済——早見表にこれらの欄はまずありません。多くのシミュレーターにもありません。当サイトのシミュレーターにも、専用の欄は無いままです。

専用の欄は要りません。所得控除はどれも、課税所得を同じだけ下げるという同一の働きしかしないためです。実際に確かめました。年収700万円で、同じ額を「年間の掛金(万円)」欄に入れた場合と「年間の社会保険料(万円)」欄に入れた場合を比べます。

追加する所得控除「年間の掛金」欄に入れた場合「年間の社会保険料」欄に入れた場合
100,000円の所得控除を足す105,334円105,334円0円
300,000円の所得控除を足す87,098円87,098円0円
500,000円の所得控除を足す82,085円82,085円0円

どの額でも差は0円です。したがって、専用の欄が無い所得控除は「年間の掛金(万円)」欄にその金額を足せば、正しい上限額が出ます。

医療費控除はいくらになるか、上限にどう効くか

医療費控除の額は次の式で決まります。支払った医療費の合計 − 保険金等で補填される金額 − 10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%。上限200万円)。この額をそのまま「年間の掛金(万円)」欄に足せば、上限額に反映されます(直前の実測のとおり、掛金欄でも社会保険料欄でも結果は同じです)。

支払った医療費(年間)医療費控除額(10万円を引いた額)掛金欄に足した場合の上限早見表との差
150,000円50,000円106,771円−1,437円
300,000円
保険金等 50,000円 を差し引く
150,000円103,897円−4,311円
500,000円400,000円84,591円−23,617円
1,000,000円
保険金等 200,000円 を差し引く
700,000円77,072円−31,136円

年収700万円の場合、医療費1,000,000円・保険金等200,000円のケースだと医療費控除額は700,000円になり、これを掛金欄に足すと上限は108,208円から77,072円まで下がります。医療費控除は所得税と住民税で控除額が一致するため(次の表の1行目)、確定申告書に書いた額をそのまま入れれば、生命保険料控除のような大小の判定に迷うことはありません。

医療費控除は年末調整では受けられず、確定申告が必須です(国税庁 No.1120)。確定申告した年の翌年6月に届く住民税決定通知書で、この控除がちゃんと反映されているかは住民税決定通知書チェッカーで確認できます。

ただし、所得税と住民税で控除額が違うものがある

ここに1つだけ落とし穴があります。所得控除には所得税と住民税で金額が違うものがあります。生命保険料控除は所得税では最大12万円ですが、住民税では最大7万円です。

控除の種類所得税の控除額住民税の控除額一致するか
医療費控除
国税庁 No.1120
支払った医療費に応じて所得税と同じ一致する
社会保険料控除
国税庁 No.1130
支払った全額所得税と同じ一致する
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo・企業型DCのマッチング拠出)
国税庁 No.1135
支払った全額所得税と同じ一致する
雑損控除(災害・盗難)
国税庁 No.1110
損失額に応じて所得税と同じ一致する
生命保険料控除
国税庁 No.1140
最大12万円最大7万円違う
地震保険料控除
国税庁 No.1145
最大5万円最大2.5万円違う
障害者控除
国税庁 No.1160
27万円〜75万円26万円〜53万円違う
ひとり親控除
国税庁 No.1171
35万円30万円違う
寡婦控除
国税庁 No.1170
27万円26万円違う
勤労学生控除
国税庁 No.1175
27万円26万円違う

所得税の控除額は国税庁タックスアンサー(各行のリンク先)、住民税の控除額は地方税法(昭和25年法律第226号)によります。

どちらの額を入れるか — 大きいほう(所得税側)

上の表で「違う」となっている控除は、大きいほう(所得税側)の額を入れてください。生命保険料控除なら12万円です。

理由は2つあります。1つは、その額が手元の書類にそのまま書いてあるから(控除証明書や年末調整の書類に出てくるのは所得税側の額です)。もう1つは、そちらに寄せると上限額が必ず低めに出るからです。年収500万円〜900万円で比べます。

年収所得税側の12万円を入れた上限住民税側の7万円を入れた上限
500万円58,022円59,275円−1,253円
600万円74,314円75,568円−1,254円
660万円84,090円85,343円−1,253円
680万円
住民税側の額を入れると所得税率を20%と誤って判定する
87,850円101,885円−14,035円
700万円104,759円106,196円−1,437円
900万円149,312円150,749円−1,437円

年収300万円から1500万円まで10万円刻みの121通りすべてで、所得税側の額を入れたほうが上限が低いか同じでした。例外はありません。

低めに外した損は0円です。上限を下回った分は自己負担2,000円のままで、余った枠が消えるだけです。一方で上限を超えると、超えた額の約9割が自己負担になります(間に合わなかったとき、いくら損するのかで計算しています)。迷ったら低いほうに倒すのが正解です。

実際、年収680万円の行を見てください。住民税側の7万円を入れると上限が101,885円と出ますが、これは誤りです。所得税率の判定が20%になってしまうためで、正しくは10%です。この1行だけで14,035円ずれ、しかも危険な側(高いほう)にずれます。この金額を信じて寄付すると、超過分の約9割が自己負担になります。

この欄に入れてはいけないもの

  • ふるさと納税の寄付額そのもの — 上限額は「ふるさと納税をする前」の状態から計算します。自分自身を計算に含めないでください。
  • 住宅ローン控除 — これは所得控除ではなく税額控除で、働き方がまったく違います。専用の「年間の住宅ローン控除額(万円)」欄に入れてください。
  • ふるさと納税以外の寄付(共同募金・日本赤十字社・認定NPO法人など) — 住民税では所得控除ではなく税額控除として扱われ、ふるさと納税と同じ枠に入ります。掛金欄に入れると二重に効きます。

4. 親を扶養している場合

70歳以上の親を扶養に入れている人は多いのに、早見表にその列はまずありません。あるのは「一般の扶養」と「大学生(19〜22歳)」だけです。

70歳以上の扶養親族は老人扶養親族といい、一般の扶養より控除額が大きくなります。同居していればさらに大きくなります(同居老親等)。一般の扶養として入力しただけだと、控除が足りない状態で計算され、上限が実際より高く出ます。前章と同じ方法で埋められます。

親の扶養の形「年間の掛金」欄に足す額上限額一般扶養扱いとの差
一般の扶養親族として入力しただけ
掛金欄に足さない=実際より高く出る
0円86,346円
老人扶養(70歳以上・別居の親)100,000円83,839円−2,507円
同居老親等(同居している70歳以上の親)200,000円81,333円−5,013円

年収700万円・親を1人扶養している人が一般の扶養として入力すると86,346円と出ますが、実際は同居なら81,333円、別居なら83,839円です。差の5,013円をそのまま超過すると、その約9割が自己負担になります。

入力手順: 「一般の扶養親族」に親の人数を入れ、そのうえで「年間の掛金(万円)」欄に別居なら1人あたり10万円、同居なら20万円を足します。国税庁 No.1180 扶養控除の老人扶養親族と一般の扶養親族の差額です。

5. 年収が刻みの間にある

早見表は100万円刻みが普通です。年収650万円の人が600万円の行を見るか700万円の行を見るかで、答えは大きく変わります。10万円刻みで並べます(独身・扶養なし・社会保険料は概算)。

年収(額面)上限額10万円前との差
600万円77,322円
610万円78,951円+1,629円
620万円80,581円+1,630円
630万円82,210円+1,629円
640万円83,839円+1,629円
650万円85,469円+1,630円
660万円87,098円+1,629円
670万円88,978円+1,880円
680万円
ここで所得税率が10%から20%に上がる
103,897円+14,919円
690万円106,052円+2,155円
700万円108,208円+2,156円
710万円110,364円+2,156円
720万円112,520円+2,156円
730万円114,676円+2,156円
740万円116,831円+2,155円
750万円118,987円+2,156円
760万円121,143円+2,156円
770万円123,299円+2,156円
780万円125,455円+2,156円
790万円127,610円+2,155円
800万円129,766円+2,156円

ふつうは10万円上がるごとに2,156円前後ずつ増えます。ところが670万円から680万円のところだけ14,919円跳ねます。ここで所得税率が10%から20%に上がるためです。

この境目をまたぐ位置にいる人は、早見表で近いほうの行を見る方法が特に危険です。年収の見込みが少し違うだけで、上限が1万円以上変わります。

6. この方法でも出せないもの

ここまでの方法は「収入が給与だけ」の人にしか使えません。以下に当てはまる人は、このページのやり方では正しい上限が出せません。

  • 副業・事業所得・不動産所得がある — 給与所得控除の計算が給与とは別になります。所得控除の足し算では埋められません。
  • 年金を受け取っている — 公的年金等控除という別の仕組みで計算されます。
  • 退職金を受け取った年 — 退職所得は分離課税で、住民税の所得割の計算が給与とは別建てになります。
  • 株の売却益・配当を申告している — 申告分離課税を選ぶと住民税の所得割が変わります。申告不要を選んだ場合は上限に影響しません。

これらに当てはまる場合、前年と収入の形が大きく変わっていないなら、前年の住民税決定通知書から逆算するほうが正確です。通知書には実際の所得割額が書かれており、ふるさと納税の上限はその所得割額から決まります。住民税決定通知書のチェックで通知書の読み方を扱っています。

よくある質問

早見表の数字と、シミュレーターの数字が違います

社会保険料の扱いが原因であることが多いです。早見表は年収の15%という概算で、実額はそこから上下します(2章)。次に多いのが年収の刻み(5章)です。実額を入れたシミュレーターのほうが自分の数字に近くなります。

ボーナスは年収に含めますか

含めます。入れるのは額面の年収(源泉徴収票の「支払金額」欄)で、手取りではありません。通勤手当などの非課税分は含めません。

今年は産休・育休で収入が下がりました

その年に実際に受け取った給与収入で計算します。育児休業給付金・出産手当金は非課税なので年収に含めません。収入が下がった年は上限も大きく下がるので、前年と同じ感覚で寄付すると超過します。

「年間の掛金」欄に足した額は、どこかに申告するのですか

いいえ。それは上限額を計算するための入力です。実際の控除は、これまでどおり年末調整か確定申告で申告してください。シミュレーターの入力と税の手続きは別物です。

共働きで、配偶者にも収入があります

ふるさと納税の上限は寄付する人ひとりの収入と控除だけで決まります。世帯収入では計算しません。配偶者控除の対象にならない収入がある配偶者は、扶養にも配偶者控除にも入れません。共働き世帯のふるさと納税で詳しく扱っています。

あわせて読む

出典

金額はすべて当サイトの計算エンジン(src/simulator.js)の出力です。社会保険料を明示していない計算では年収の15%として概算しています。実際の控除額は自治体の計算によります。