ふるさと納税のデメリット11個のうち、全員に当たるのは3つだけ——残りは条件が揃った人の話です
- よくある「デメリット20選」には、性質の違う3種類が混ざっています。全員に必ず当たるもの、条件が揃った人にだけ当たるもの、そもそも寄付する人の損得の話ではないもの。
- 全員に必ず当たるのは3つだけです(自己負担2,000円・先払い・手続き)。
- 「年収が低いと損」は本当ですが、境目は独身で年収166万円。ここを下回ると、返礼品を受け取っても自己負担2,000円を回収できません。
- 独身で年収138万円を下回ると、寄付しても1円も戻りません(住民税の所得割が0円のため)。
まず、3種類に分けます
「ふるさと納税 デメリット」で並ぶ記事は、項目数が3個から20個までばらついています。数が違うのは、数え方が違うからではなく、種類の違うものを同じ列に並べているからです。実際、ある大手の「20選」には「実質の自己負担は2000円のみ」という項目が入っています。これは制度の説明であって、デメリットではありません。
読む側が知りたいのは項目数ではなく、そのうちどれが自分に当たるのかのはずです。そこで、上位に出ている記事が挙げている項目を集めて、3種類に仕分けし直しました。
1. 全員に必ず当たる3つ
| 当たること | 中身 | 避けられるか |
|---|---|---|
| 自己負担2,000円 | 寄付額のうち2,000円は控除されない | 避けられない。寄付先を何か所に分けても、1年の合計で2,000円 |
| 先に払う | 寄付は今年、税金が軽くなるのは来年 | 避けられない。ワンストップ特例なら翌年6月からの住民税で、確定申告なら所得税分が翌年春・住民税分が翌年6月から |
| 手続きが要る | ワンストップ特例の申請書を出すか、確定申告をするか | 避けられない。ただしワンストップ特例は書類を郵送するだけ |
この3つは、年収にも家族構成にも関係なく、寄付する人全員に当たります。逆に言えば、この3つを受け入れられるなら、あとは条件の話です。
2. 条件が揃った人にだけ当たる6つ
ここが本題です。自分に当てはまる行があるかだけ見てください。
| 当たる条件 | 何が起きるか | どうするか |
|---|---|---|
| 年収が低い | 控除の枠が小さく、返礼品を受け取っても自己負担2,000円を回収できない。さらに下がると控除が1円も効かない | 境目は下の章で計算しました |
| 上限額を超えて寄付した | 超えた分は大半が自己負担になる(全額ではない) | 超えたときの自己負担がいくらか |
| 住宅ローン控除を受けている | 所得税が先に0円まで減っていると、ふるさと納税の所得税分が働かず自己負担が2,000円を超える | 住宅ローン控除との併用(境目は所得税額) |
| 医療費控除などを併せて申告する | 課税所得が下がるぶん、ふるさと納税の上限額も下がる | 控除を入れたあとの住民税所得割で計算し直す |
| 寄付の名義が本人でない | 控除されない。寄付した人と、税金が軽くなる人が同じでなければならない | 申込者名・支払うカードの名義を本人に揃える |
| ワンストップ特例が無効になる | 6自治体以上に寄付した/確定申告をした/引っ越して住所変更を出していない | ワンストップの申請を忘れたとき |
3. 「年収が低いと損」の境目は、いくらですか
どの記事にも「年収が低い人はやめたほうがいい」と書いてありますが、金額の線はほとんど示されていません。総務省の控除の式から計算すると、線は2本あります。
1本目|控除が1円も効かない線:住民税の所得割が0円だと、ふるさと納税で差し引く元の税金がありません。寄付した額はそのまま持ち出しになります。
2本目|返礼品をもらっても元が取れない線:返礼品は調達費用が寄付額の3割以下と決められています(3割ルール)。上限額いっぱいに寄付しても、上限額の3割が2,000円に届かなければ、返礼品を受け取っても差し引きでは損です。上限額6,667円がその分かれ目になります。
| 家族構成 | 控除が効き始める年収 | 返礼品を含めて元が取れる年収 |
|---|---|---|
| 独身・共働き | 138万円 | 166万円 |
| 夫婦(配偶者控除あり) | 177万円 | 208万円 |
| 共働き+高校生1人 | 177万円 | 208万円 |
| 共働き+大学生1人 | 191万円 | 234万円 |
| 夫婦+高校生1人 | 216万円 | 265万円 |
総務省の控除の式から当サイトの計算機で算出(1万円きざみ)。社会保険料は給与収入の15%として概算、他の所得控除は入れていません。実際の額は源泉徴収票の社会保険料等の金額で変わります。
独身の場合を細かく見ると、こうなります。
| 年収 | 上限額 | 返礼品(3割) | 自己負担2,000円との差引 |
|---|---|---|---|
| 120万円 | 控除なし | — | 寄付額がまるごと持ち出し |
| 140万円 | 2,222円 | 666円 | -1,334円 |
| 150万円 | 3,777円 | 1,133円 | -867円 |
| 160万円 | 5,666円 | 1,699円 | -301円 |
| 180万円 | 9,444円 | 2,833円 | +833円 |
| 200万円 | 13,222円 | 3,966円 | +1,966円 |
同上。返礼品は「調達費用が寄付額の3割以下」という上限いっぱいで見積もった額です。実際にいくらの品が届くかは自治体によって違い、調達費用は市場で買うときの値段とも一致しません。
つまり年収166万円を境に、損得が入れ替わります。ここを下回る場合、寄付する理由は「得だから」ではなく「応援したいから」になります。それは十分な理由ですが、得だと思って始めると期待と違います。
4. 上限を超えても「全額自己負担」ではありません
多くの記事が「上限を超えた分は全額自己負担」と書いていますが、正確ではありません。上限で頭打ちになるのは住民税の特例分だけで、所得税の寄附金控除と住民税の基本分は超えた分にも働きます。実際の自己負担は所得税率によっておよそ66.5%〜84.9%です。
とはいえ、超えれば損をすることに変わりはありません。計算はこちらの記事にまとめています。
5. デメリットに数えられているが、寄付する人の損得ではない2つ
| よくある書かれ方 | 実際は |
|---|---|
| 節税にはならない | そのとおりですが、もともと節税の制度ではありません。払う先を変えて返礼品を受け取る制度です。節税を期待していなければ、これは損ではありません |
| 自分が住む自治体の税収が減る | 制度そのものへの意見であって、寄付するあなたが損をするかどうかとは別の話です |
結局、ふるさと納税は得なのか——やらないほうがいいのはどんな人ですか
ここまでを1つにまとめると、こうなります。
- やらないほうがいい:年収が上の表の線を下回る人(控除が効かない、または返礼品で元が取れない)
- 計算してから決めたほうがいい:住宅ローン控除を受けている人、医療費控除を併せて申告する人
- 手続きだけ気をつければいい:それ以外の人。全員に当たる3つを受け入れられるなら、損は出ません
自分の上限額を出す
年収と家族構成を入れると、上限額と内訳が出ます。上限額が6,667円を下回る場合や、住民税の所得割が0円の場合は、その場で注意が出るようにしてあります。
あわせて読む
出典
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「告示・通知等」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/
- 返礼品の3割基準の詳細は当サイトの3割ルールの記事にまとめています
最終更新:2026年8月24日