産休・育休の年のふるさと納税|上限は「働いた分の給与」で決まり、給付金は入りません
最終更新日: 2026-09-24
先に結論
- 育児休業給付金も出産手当金も、ふるさと納税の上限には入りません。どちらも非課税で、税の計算に使う所得にならないからです。
- 上限を決めるのはその年に実際に受け取った給与だけです。休みに入る月が早いほど上限は下がります。
- 1 年まるごと休んで給与が 0 なら、上限も 0 円です。この年に寄付すると、2,000 円どころか全額が自己負担になります。
- 上限が小さい年は超えた時の損が大きいです。上限 16,252 円の人が 3 万円寄付すると、自己負担は 2,000 円ではなく 14,372 円になります(当サイトの計算・下の表)。
産休・育休に入る年は、ふるさと納税の「いくらまで」が例年と変わります。変わる理由ははっきりしていて、休んでいる間に受け取るお金が税の計算に入らないからです。ここを知らずに去年と同じ金額で寄付すると、戻ってこない分がそのまま自己負担になります。この記事では、根拠と、月別の上限と、超えた時にいくら損をするかを数字で出します。
給付金は「所得」に入らない
産休・育休の間に受け取る主なお金は、税の上で次の扱いです。
| 受け取るお金 | どこから | 税の扱い | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 雇用保険 | 非課税 | 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」 |
| 出産手当金 | 健康保険 | 非課税 | 健康保険法第102条の給付・同法第62条により課税されない(国税庁) |
| 出産育児一時金 | 健康保険 | 非課税 | 健康保険法第101条の給付・同法第62条により課税されない(国税庁) |
| 休む前後に働いた分の給与・賞与 | 勤務先 | 課税 | — |
厚生労働省の案内は「育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません。また、育児休業等給付は非課税です」と書いています。国税庁も、出産育児一時金と出産手当金について「健康保険法第101条の規定に基づき支給される出産育児一時金や同法第102条の規定に基づき支給される出産手当金は、同法第62条の規定により課税されないことになっています」としています。
ふるさと納税の控除の計算は、所得税・住民税の課税所得から組み立てられます(控除の仕組み)。非課税のお金はその計算に入らないので、給付金をいくら受け取っても上限は 1 円も増えません。
上限は「その年に働いた分の給与」で決まる
当サイトの控除上限シミュレーターで、休みに入る時期ごとの上限を計算しました。独身・扶養なしの場合です(計算式は総務省が公表している目安表と自動テストで照合しています)。
| その年の状況 | 年間の給与 | 控除上限の目安 |
|---|---|---|
| 例年どおり働いた年 | 450 万円 | 49,823 円 |
| 9 月から育休に入った | 300 万円 | 30,623 円 |
| 6 月から育休に入った | 200 万円 | 16,252 円 |
| 4 月に復職した(前半は育休) | 150 万円 | 5,444 円 |
| 1 年まるごと育休(給付金のみ) | 0 円 | 0 円 |
例年 450 万円の人が 6 月から休むと、上限は約 5 万円から約 1.6 万円に下がります。去年と同じ 5 万円を寄付すると、3 万円以上が枠の外になります。自分の場合の金額は控除上限シミュレーターに、その年に受け取る見込みの給与を入れて出してください。
上限を超えると、いくら自己負担になるか
「超えた分が少し戻らないだけ」ではありません。上限 16,252 円(給与 200 万円)の人が寄付額を増やしていくと、自己負担は次のように増えます。
| 寄付額 | 自己負担(ワンストップ特例) | 自己負担(確定申告) |
|---|---|---|
| 10,000 円 | 2,000 円 | 2,000 円 |
| 16,000 円(上限内) | 2,000 円 | 2,000 円 |
| 20,000 円 | 5,372 円 | 5,181 円 |
| 30,000 円 | 14,372 円 | 14,100 円 |
| 50,000 円 | 32,372 円 | 32,100 円 |
上限を超えた分は、住民税の特例分(所得割額の 20% が限度)で吸収されなくなるためです(国税庁 No.1155)。返礼品は届きますが、3 万円寄付して 14,372 円の負担なら、同じ品を普通に買った方が安いこともあります。判断の分かれ目はそこです。
社会保険料が免除される年は、上限が少し上がる
育休中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除されます(厚生労働省)。社会保険料が減ると課税所得は増えるので、上限はわずかに上がる方向に動きます。同じ給与 200 万円でも、社会保険料をいくらと見るかで上限が変わります。
| 給与 200 万円・社会保険料の置き方 | 控除上限の目安 |
|---|---|
| 収入の 15% で概算(一般的な簡易計算) | 13,222 円 |
| 実際に払った分だけ(4〜5 月の約 20 万円) | 16,252 円 |
差は約 3,000 円です。多くのサイトのシミュレーターは社会保険料を収入の一定割合で概算するので、免除があった年は上限が実際より低めに出ます。低めに出る分には超過しないので安全側ですが、正確に知りたい場合は源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を入れて計算してください。
配偶者の枠を使いたい時
「自分の上限が小さいから、配偶者の枠で寄付する」はできます。ただし寄付も名義も、控除を受ける本人のものである必要があります。総務省は「所得税や住民税を納めている方が寄附金控除を受けられますので、寄附金控除を受けるためには、その納税者本人がふるさと納税を行う必要があります。また、ふるさと納税を行う名義も本人である必要があります」としています。
つまり、配偶者名義のクレジットカードで配偶者が申し込む形にします。世帯でいくらまでかという考え方と、分け方の損得は共働きの場合にまとめています。
いつ決めればいいか
| 時期 | やること |
|---|---|
| 休みに入る前 | その年に受け取る給与の見込みを出す(復職月・賞与の有無で変わる) |
| 11〜12 月 | 見込みが確定したら上限を計算し直す。寄付はここから |
| 12 月 31 日 | この日までの決済がその年の寄付(決済方法別の締切) |
| 翌年 1 月 10 日 | ワンストップ特例の住所等の変更届出の期限。産後に里帰り・転居した人はここも見る |
年の前半に「今年もいつもどおり」で寄付してしまうと、あとから給与が減っても取り消せません。上限が読めない年は、年末に回すのが確実です。控除は 1 月〜12 月の年単位なので、年をまたげば翌年の枠になります。
よくある質問
育児休業給付金は「収入」ではないのですか?
生活のためのお金ではありますが、税の計算に使う所得には入りません。厚生労働省の案内に「育児休業等給付は非課税です」と明記されています。非課税のお金は所得税・住民税の課税対象にならないので、ふるさと納税の控除上限の計算にも入りません。
1 年まるごと育休でした。2,000 円の自己負担で返礼品をもらえますか?
もらえません。給与が 0 なら課税所得も 0 で、控除する税金がないため上限も 0 円です。この年に寄付すると寄付額の全額が自己負担になります(寄付そのものはできますし、返礼品も届きます)。
産休・育休中でも住民税は引かれます。その分は関係しますか?
今年納める住民税は前年の所得に対するものなので、休んでいる年にも請求が来ます。ただしふるさと納税の控除はその年の所得に対する税から引かれる仕組みなので、前年分の住民税を納めていることは上限を増やしません。
復職した年は元に戻りますか?
その年に受け取った給与の分だけ戻ります。年の途中(たとえば 4 月)に復職した年は、働いた月数に応じた上限になります。上の表の「4 月に復職(給与 150 万円)」で 5,444 円です。
上限ぎりぎりまで寄付しても大丈夫ですか?
上限は見込みの給与で計算した目安です。賞与が減る・復職が延びるなどで給与が下振れすると、計算し直した上限は下がります。産休・育休の年は見込みの 8 割程度に抑えると、下振れしても超えにくくなります。
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この記事を書いている立場について
本サイト「ふるさと控除ラボ」はポータルサイトではなく、寄付の受付も返礼品の発送も行っていません。だから「今年はやめた方がいい」と書けます。記事の下書きには生成AIを補助的に使い、公開前に運営者本人が総務省・国税庁・厚生労働省の公表資料と突き合わせて確認しています。
金額は当サイトの控除上限シミュレーターの計算式で出しています。実際の上限は他の所得控除(医療費控除・住宅ローン控除など)でも変わるので、大きな金額を寄付する前にはお住まいの自治体にも確認してください。
出典
- 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」— 育児休業中の社会保険料免除と「育児休業等給付は非課税です」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「出産育児一時金の支給を受けている配偶者」— 健康保険法第101条・第102条の給付は同法第62条により課税されない https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/cat2/cat22/cat22a/cid022.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」— 控除額の計算(住民税特例分は所得割額の20%が限度) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
- 総務省「ふるさと納税ポータル よくある質問」Q4(1月〜12月の年単位)・Q5(上限は収入や他の控除による)・Q9(納税者本人の名義) https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/faq/
- 総務省「制度改正について(2015年4月1日)」— ワンストップ特例の変更届出書は翌年1月10日まで https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html
- 控除上限額・自己負担額の計算: 当サイトの計算エンジン
products/affiliate/furusato/src/simulator.js(総務省の目安表と自動テストで照合)